米プロゴルフツアー(PGAツアー)は9月16日、マウイ島カパルアで毎年1月に開催されてきたシーズン開幕戦「ザ・セントリー(The Sentry)」について、2026年大会の開催を中止すると発表した。会場であるカパルア・ゴルフの「プランテーション・コース」が、深刻な干ばつにより大きな被害を受けたことが主な理由とされる。

https://golfatkapalua.com/plantation-course/
PGAツアーの声明によると、ハワイ州知事室、セントリー保険、カパルア・リゾート、マウイ郡との協議を経て、2026年の大会は中止との判断に至ったという。声明では「干ばつの継続、水資源の保全義務、芝生の管理状況、運営上の課題を総合的に考慮した」としている。これにより、同大会がカパルアで開催されないのは1998年以降初めてとなる。
カパルア・ゴルフは過去数週間にわたり、コース回復のため両ゴルフ場を一時閉鎖していた。9月15日には「ベイ・コース」を無期限閉鎖とし、プランテーション・コースの修復に全力を注ぐ方針を発表したばかりだったが、翌日にPGAツアーから正式な中止決定が伝えられた。
カパルア・ゴルフのアレックス・ナカジマ総支配人は、「この決定には非常に落胆している。我々はこの数ヶ月、あらゆる手段を講じてコースの保護と回復に努めてきた」と述べた。また、「PGAツアーにとっても、このような事態は初めての経験ではないか」とも語っている。
大会のチケットは直前までオンラインで販売されており、数千ドルの高値で取引されていたが、今回の中止発表に伴い販売は停止された。現時点では、チケット購入者への返金や代替開催地に関する情報は発表されていない。
「ザ・セントリー」はマウイ島経済に年間約4,800万ドル(約70億円)の経済効果をもたらす重要イベントであり、その影響は大きい。ただし、今回の中止によってカパルア・リゾート内での雇用に影響は出ていないという。ナカジマ氏によれば、ゴルフ場の復旧作業は継続され、2027年大会の開催を目指している。
大会タイトルスポンサーであるセントリー保険の広報責任者ステファニー・スミス氏は、「我々はPGAツアーの決定を理解し、支持する。マウイの人々との絆は、大会以上に価値のあるものであり、今後もマウイとの関係は変わらない」とコメントしている。
一方、干ばつによる水不足をめぐっては、カパルア・ゴルフ場の所有者がマウイ・ランド&パイナップル社(MLP)を提訴する事態にも発展している。訴状では、MLPがコースへの給水システムの維持管理義務を果たさなかったと主張しており、今回の干ばつによる被害の責任の一端を問う形となっている。
MLPは声明の中で、「干ばつによりマウイ島全体が大きな影響を受けている。住宅建設の遅れや、生活用水・農業用水の不足など、影響は広範に及んでいる」とした上で、「カパルア・ゴルフ場や関係機関と協力し、消費削減や再生水の活用に向けた取り組みを続けている」と述べている。
なお、PGAツアーは2026年も他の2つの大会についてはハワイ州内で開催する予定。ホノルルのワイアラエ・カントリークラブでの「ソニー・オープン」(1月12日〜18日)、ハワイ島フアラライ・ゴルフクラブでの「三菱エレクトリック選手権」(1月22日〜24日)は予定通り実施される見通し。
PGAツアーは、「ザ・セントリー」の今後の開催地や返金対応などについては「適切な時期に情報を共有する」としており、現段階での追加コメントは控えている。
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