ハワイの住宅ローン、ロックダウンの影響について銀行にインタビュー

新型コロナウィルス対応がひろがる中、現在の不動産売買プロセスやローンにはどういった影響が出ているのだろうか?ハワイの2つの銀行のローンオフィサーにお話を聞かせていただいた。

目次

今日お話をお伺いしたのはこちらのお二人。

 
 ファーストハワイアンバンクのローンオフィサー、
 面来(おもらい)ゆうこさん

 
 

 
 アメリカンセイビングスバンク、レジデンシャルローンオフィサー
 木勢 貴代美さん
 

ローン審査や不動産売買取引にどのような影響が出ているのか?

まず、ロックダウン中のハワイにおいても、不動産関連業界は「エッセンシャルサービス」として営業停止や外出禁止の対象にはなっていない。が、ローン(モーゲージ)の審査を含む不動産取引プロセス自体に影響はは出ていないのだろうか?という点について伺ってみた。

手続きも「ソーシャルディスタンス」を守って

ローンの手続きや不動産売買の手続きの中には、署名する書類が大量にある。ドキュサインなどオンラインの署名で済む部分も多いが、必ず最終的には、公証(ノータリー)のために自筆のサインが必要な部分が出てくる。

これらはどのように進めているのだろうか?

面来さん:
「従来は、会議室でテーブルを挟んで行っていた最後のサイニングですが、現在はマスク着用の上、大きな会議室で距離を置いて行うなど、ソーシャルディスタンスを厳守しておこなっていますね。また、書類の説明を前日や当日に電話で行い、実際の公証やサインはエスクローの駐車場まで来ていただき、そのまま車の中にいながら可能な“ドライブ・アップ・サイニング”という方法も取り入られています。」 


とのこと。

本来であれば、契約書を一緒に見ながら細かく説明し、理解の上でサインをするハイライトとも言えるプロセス。しかし最小限の接触で重要な取引をつつがなく行えるように、各社とも配慮と工夫を凝らしている。

次に住宅用の不動産ローンのマーケットの変化について伺ってみた。

急増するローン借り換え(リファイナンス)の申し込み

まずお二人ともに、口をそろえておっしゃるのが、「不動産ローンの申し込み数が、3月に入ってから、激増している」ということ。

申し込み激増の背景は大きく二つのタイプがあるという。

高金利時にローンを組んだ方のリファイナンス

一つ目のタイプは、高金利時にローンを組んだ人の借り換え。

木勢さん:
「2018年には5%近かった30年固定、住宅ローン金利ですが、3月9日には直近で最低の2.85%をマークしました。これは歴史的にみても最低金利レベルです。2020年2月と比較すると、3月では3倍以上の申し込みを受け付けました。」
 

面来さんも同様の状況だそうだ。

面来さん:
「歴史的な低金利のいま、特にローンの残り期間が長い方ほど、手数料を払ってでもリファイナンスするメリットが高いです。そのため、この数年に購入された方、また、近年の新築ラッシュで建設されたコンドミ二アムを購入された方からのご相談が多いですね。たとえばカカアコやアラモアナエリアのカピオラニレジテンスやケキロハナなどをご購入された方々からのご相談が多々ありました。」
 

新型コロナウィルスによる収入減によるリファイナンス

そして、もう一つのタイプが新型コロナウィルスの影響によって、収入減に見込まれるたちのリファイナンスの相談だ。

面来さん:
「ハワイ州のロックダウンにより、長期に渡る経済の低迷と収入減を予期して、毎月のローン支払額を減額するために、リファイナンスに申し込むというケースも増えてます。」

 
このように、残りのローン期間を引き延ばしてでも、毎月の支払額を減らすことで、収入の回復までの期間を何とかしのぎ、持ち家をキープしたいという意図での申し込みが急増している。
 

リファイナンスのローン審査自体は伸びる傾向に

上記のような理由でリファイナンスの申し込み件数自体が急増しているため審査期間は延びる傾向にあり、4月末現在、大体2カ月ほどかかるという。

一方、オアフ島のロックダウン期間が4月末までの5月末に延長になったことなどを受け、別の影響も出ているという。

木勢さん:
「例えば、3月初めにリファイナンスの申し込みをした方の中にも、ハワイのロックダウン後、一時帰休や、減給になってしまったりした方がおられます。ローンの審査のためには直近の給与明細や雇用証明の提出も求められるため、事情が変わって審査がペンディングになったり、通らないケースも出てきています。」

このように、3月上旬までは歴史的低金利を背景に、借り換えしたり、不動産の買い増しをしようとしていた前向きな機運から一転、3月後半~4月はロックダウンで思いもかけないダウントレンドに巻き込まれた。これは、借り手側も、銀行側も同じ気持ちだろう。

大きな収入減で、ローンの支払いが厳しくなりそうなときの救済措置

前述のように、ロックダウンが5月末まで延長が決定されるなど、先が見通せない今、ローンを持つ人が、大きく収入が減ってしまった、また失業してしまった場合にはどうすべきなのだろうか。


基本的に、失業している人は新たなローンは組めないし、リファイナンスの審査にも通らない。が、一時的な失職が収入減に見舞われた人への救済措置やそのサポート窓口を設置している。

銀行ごとの救済措置

まずいずれの銀行でローンを借りているにしても、今までの支払いを続けられなそうな状況に見舞われた、見舞われそうという場合、なるべく早く打てる手について相談しておく方がよい。

お話を伺った両行でも、収入が一時的に減少してしまった人向けに、最長3カ月間、支払いを繰り延べできる救済策をとっているそうだ。(要審査。その方の支払い能力で猶予期間が変わる可能性あり)。猶予が認められた場合、3カ月後に一括支払いではなく、ローン期間の終わりが3カ月間延長になる。


相談先:

ファーストハワイアンバンクでは 新型コロナウィルス関連のアシスタンスプログラム

アメリカン・セービングスバンクのファイナンシャルハードシップ・アシスタンス

政府の救済措置

中小企業オーナーや家族経営のビジネスなどの場合、連邦のSmall Business Administration(中小企業庁)の、Payment Protection Program(PPP)やDisaster Loanなどの公的ローンなどでつなぎの資金を確保。(PPPはいったん上限に達し打ち切られたが、第2段の追加予算が発表された)。
 

州の救済措置

失業してしまった場合には個人では失業保険申請など、公的補助を得ることがまず最優先となる。その後のローンに対しては、銀行に状況を説明し、個々のケースでの判断となる。
 



ハワイ州全体では大きな経済的打撃を受けており、そのあおりを受けている人達に及んでいる影響を不動産ローンの観点からまとめてみた。

一方で、低金利でのローンが組める状況にあることは変わりなく、雇用の先行きに不安のない堅い職業の方などは、リファイナンスや不動産取得の高タイミング到来と言えるだろう。 

今後の動向に注目だ。

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