シリーズ!ハワイ不動産、相続トラブル事例と回避策!【ケース1】

更新日 2021.03.30

米国不動産を個人所有、または共同所有する方が亡くなった場合、その不動産の名義変更(相続)を行うには「プロベート」という裁判所の監視下で行われる遺産分割・相続手続きが必要となる。その手続きは、完了するまでに数年かかるという。その為、相続対策においてプロベート回避策はとても重要な要素となっている。 ここでは、エステートプラン、リビングトラスト、資産形成、日米間の相続対策などを専門とし、アメリカで17年の実績をもつ佐野郁子弁護士に実際にあった相続トラブル事例と回避策について解説してもらった。
 

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プロベート回避のために、Joint Tenancy形式(名義は家族全員)でハワイ不動産の購入をしていたが、相続時にトラブルとなった事例

家族構成:父、母、長男、長女(長女はハワイ不動産に居住)
Joint Tenantsとしてそれぞれ25%ずつ所有

経緯と発生したトラブル

ハワイ不動産の購入時、名義に家族全員の名前を入れておくことで、父または母が死亡した場合の相続発生時に「プロベート」の必要がなくハワイ不動産を家族に残せるということを不動産エージェントよりアドバイスをもらい「Joint Tenancy」という所有形態で購入。それぞれが25%ずつ所有した。

父と母は生前に遺言状を作成。このハワイの不動産には長女が住んでおり、長男の名義を外すことを前提にハワイの不動産の父と母の所有権は長女に託す、長男には不公平にならないように、ハワイ不動産の半分の価値に相当する金融資産をX円残す、と遺言書に明記した。

だが、長男の名義を外せないままに父、母ともに他界。 父、母のそれぞれが他界した時、不動産の所有形態は「Joint Tenancy」であるため それぞれの所有権はプロベートの必要がなく、長男、長女に均等に相続された。結果、長男と長女に半分ずつの所有権を有することになった。(Joint Tenancyでは相続人を指定できない)

Joint Tenancyという所有形態は遺言書より優先される。その為、遺言書で特定相続人を指定されていても、法定相続人がいても関係なく、不動産の共同所有者が相続する。

今回の両親の遺言通りに、長男の名義を外し、100%長女の名義にするには、長男の持分50%を長女に贈与するか、売却するかという選択肢となる

①贈与する場合
贈与となると贈与税の課税対象となり、長女が贈与税を払うことになる。

②売却する場合 長女が長男の持分を買い取るには長女が長男に売却額を支払うことになる。


結果、兄弟で不平等な相続となった。長男は両親の遺言書により多く金融資産を相続。長女は不動産の価値の50%を長男に払って長男の持分を買い取ることか、または贈与税を払うことの選択に不満を抱く、両親が想像だにしない結果となった。

 

どのような回避策があるのか

米国不動産を購入するときにプロベート回避を念頭に入れることは極めて重要ですが、上記案件のようにJoint Tenantsで家族の名前を入れるだけでは後々問題になりかねません。他にも、リビングトラスト、TODD、法人名義など多くの対策があります。どのような回避策を講じるのがベストかは、個人の事情および状況によりますので、注意が必要です。

ハワイをはじめ、米国不動産を購入される前には、どのような所有形態が適しているかや、その他の対策なども含め、専門家に相談することをおすすめします。

Joint Tenancy(ジョイントテナンシー)

*豆知識1
Joint Tenancyとは、二人以上の共同所有者(Joint Tenants)が不動産を合有する形態。全員で全体の権利を有し、持分の割合は必ず平等となる。Joint Tenantsは個人に限られ、法人は利用はできない。

*豆知識2
Joint Tenancyの最大のメリットは、一人の共同所有者の死亡時、裁判所の関与なく、プロベートの必要なく、残された共同所有者に所有権が移転すること。不動産が所在する州およびカウンティ(群)の登記所に死亡証明を提出し、名義変更の手続きを行う。残された共同所有者は、余計な時間も費用もかけずにスムーズに相続できる。

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