「創業者の意思を継ぎながら、デジタル化で革新を」セントラル パシフィック バンクの新頭取・CEO アーノルド・マルティネスさんにインタビュー

更新日 2023.01.24

アーノルドさんのバックグラウンドやこれまでのキャリア、また今までの実績などについて教えてください。

私はハワイ島のパアウイロという、シュガープランテーション(さとうきび農園)で栄えた小さな町の出身です。さとうきび農園での職を求めてやってきた移民の人々が住む町でしたので、わたしの近隣にも日本や台湾、韓国、パラオなどさまざまな国籍の家族が暮らしていました。そういう多民族・異文化の中だからこそ、自然と皆が相手を思いやって暮らし、協力して働く、そんな結束の固いコミュニティの中で育ちました。  

セントラル パシフィック バンクの新頭取・CEO
アーノルド・マルティネスさん

わたしが高校を卒業する頃に、町の基幹産業だったさとうきび農園が閉鎖となり、町のほとんどの人が一斉に失業するという不運に見舞われました。しかし悲嘆はつかの間で、それぞれ次に向かって即座に動き出しました。伸びつつあった観光業やホテル業に転職する人、農業や新ビジネスで起業する人など、時代の変わり目を乗り切ろうと皆たくましかったですね。

これら一連の出来事から私が学んだことは「失敗や逆境に囚われることなく、心を切り替えて前進することが大切」ということです。英国元首相のウィンストン・チャーチルも「せっかくの危機を無駄にするな(Don't waste a good crisis)」という名言を残しています。この教えは今に至るまで、私の人生の指針となっていますね。



その後、私は銀行で副支店長としてキャリアをスタートさせました。ほどなく責任ある仕事を任されるようになり、そこから信用管理、商業用・工業用の不動産融資、店舗のマネジメントなど、さまざまな職務で上級職や管理職の経験を積んだ後、2023年1月にセントラル パシフィック バンク(CPB)の新頭取・CEOに就任しました。CPBに勤務して19年、いまでは家族や友人のようにお互いをよく知るメンバーも多く、彼らと共に取り組む今後のCPBの未来に大いに期待しています。
 

私のキャリアの中で心に残る実績としては、パンデミックの初期に取り組んだPPP(Paycheck Protection Program)という中小企業支援の融資プログラムを通じて、多くの地元中小企業をサポートできたことです。

当時は、ロックダウンなどで苦しむ中小企業の多くが政府からの支援を必要とし、この融資を受けられるかどうかで命運が分かれるという待ったなしの状況でした。PPPは各企業が銀行を通じて中小企業庁(SBA)に申請する仕組みだったため、我々にも問い合わせが殺到し、情報も錯綜していました。そんな中、CPBでは急遽8時間の3交代制を導入、24時間休みなく稼働して、この未曾有の事態に対応しました。

CPBは最終的に、ハワイの他のどの銀行よりも多くのPPPローンを中小企業に提供することが出来ました。全米の銀行の中でも人口比あたりではCPBが最多の申請数でした。これは中小企業の皆さまに対する私たちのコミットメントの裏付けだと言えます。他の銀行よりも多く申請することが目標だったわけではなく、お客様のためにCPB全員で一丸となって取り組んだ結果がこのような数字につながったのです。この融資がなければ多くの中小企業が閉鎖や人員削減を余儀なくされたことでしょう。

CPB創業時に、創業者たちが「ハワイのすべての人々のための銀行」を作ろうとした意思を私も引き継いで行きます。ハワイの人々、そして中小企業の成長を支援することをお約束します。そして中小企業をサポートすることで経済の多様化を促進し、ハワイの生活の質を向上させ、より活気のあるコミュニティ作りをサポートする。そういう銀行を目指していきたいと思います。

CPBの将来のビジョンについて教えてください。

まず、優先事項となるのはイノベーションとデジタルの拡大です。
デジタルファーストのアプローチをさらに推し進めるために、個人向けローンや自動車ローンの借り換え、中小企業向け融資の分野で、いくつかのフィンテック企業と提携しました。

また、日本のお客様に向けてアメリカの銀行としては初となる「取引のほとんどを日本語で行うことができるオンラインバンキング・システム」もリリースしました。すべてのお客様にとって、利便性や効率性の高いサービスを提供していくために、今後もデジタル化への注力は続きます。

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ここ数年のイノベーションとデジタル化への取り組みは、お客様の利便性と満足度の向上にフォーカスした「外から見える改革」でした。そして今後は、行内のシステムのアップグレードや新しいワークスペース導入など従業員の働きやすさや満足度の向上といった「内側からの改革」にも同時に取り組んでいきます。

新しく導入された”フレンドシップフロア”
フリーアドレスのワークスペースで
行員の交流やコワーキングを推進

また、地域社会へのコミットメントの拡大もビジョンの一つです。
ハワイ州最大の慈善団体の一つであるCPB財団を通じたコミュニティへの寄付を行うだけでなく、従業員もコミュニティ活動へ積極的に参加しています。
さらに女性起業家を資金面や専門的なリソースで支援する「WE by Rising Tide」のようなイニシアチブ活動も行っています。

我々自身の経営体制で模範を示すだけでなく、こういったプログラムを通じ女性起業家の地位や、中小企業の利益向上のサポートを行っています。

ハワイで中小企業のためにCPBほど尽くしている銀行は他にありません。このようにさまざまな形での地域コミュニティへのコミットメントを今後も推進していきます。

日本の読者の方に向けてのメッセージをお願いします。

CPBの創業者は、日系二世の若者たちでした。元アメリカ上院議員でありホノルル空港の名称でも知られるダニエル・K・イノウエ氏もその一人です。戦後のハワイにおいて、日系コミュニティをはじめとする移民のための銀行として、住友銀行の支援を受けてスタートしたという設立の経緯もあります。このように創業の時からCPBはハワイの日系コミュニティ、そして日本に在住の日本人の皆さまと強い絆で結ばれている銀行なのです。

「すべての人々のための銀行を」という創業時の理念、
そしてCPBの歴史を伝える
”レガシーウォール”の前で

現在、CPBの国際部には13人の日本語が話せるスタッフが在籍しており、日本の個人や企業のお客様をサポートしています。
前述した全米初となる日本語のオンラインバンキング・システムや日本語ウェブサイトなどの先進的な取り組みは、日本人のお客様からもお褒めの言葉を頂いております。

今後とも、CPBは法人のお客様、個人のお客様を問わず、ハワイと日本との架け橋になりたいと考えています。


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