オアフ島で60件以上の不動産を管理し、ご自身も不動産投資家であるグレイス・インターナショナル・ハワイ不動産の岡崎恵子さん。
2023年の下半期、アメリカ経済は利上げのニュースなどで経済の見通しに不透明感が強いが、実際にハワイ不動産への影響などを、日々の不動産マーケットを見ている岡崎さんの「投資家目線」で語っていただいた。
2023年のハワイ不動産、下半期の動きはどうなる?
岡崎さん:
アメリカ本土全体での金利の上昇など財政の引き締めや、景気の後退予測のニュースを見られたお客様の中には「ハワイも厳しいんでしょう?」と聞いてこられる方もおられます。
そもそもハワイのマーケットはアメリカ本土の動きから時差があります。大体半年~1年ほど経ってから影響が出てくることが多く、現在もアメリカ本土ほどの警戒感の高まりは感じていません。
実際にカリフォルニアでは不動産価格の下落が始まっているそうですが、オアフ島では販売件数こそ減っているものの中間価格は下がっていません。もちろん金利が高くなったことでローンを組んでハワイ不動産を買っていた人々が、購入を見送るなど全体的なバイヤーの数は減っています。
2023年下半期のアメリカの利上げは、キャッシュで買える方や、日本でアメリカに比べて低金利のローンを借りられる方にとっては、買い手としての競争力が高まるチャンスとも言えます。
2023年のハワイ不動産、投資家としてここを注目
長期賃貸物件は相変わらず物件不足
わたしはオアフ島各地で、スタジオから高級物件まで約60件の長期賃貸物件を管理しています。
コロナになってバケーションレンタル物件で回していたものを長期賃貸に切り替えたオーナーさんがたくさんおられましたが、その後、観光業の回復を見てバケーションレンタルへと戻す方も多かったため、オアフ島の長期賃貸物件は物件が足りない状況が続いています。
5月6月というのは学生さんたちが新学年に向けて部屋探しを始める時期ですが、去年から続く賃貸物件不足情報を知って、今年は例年よりも1ヶ月ほど早く動き出している印象です。また物件不足から来る全体的な賃料相場もじわじわと上がっています。この数年、賃料を上げていなかったオーナーさんは家賃を上げやすいタイミングです。
政府のコロナ関連の住宅支援がほぼ終了に
またコロナによって収入減や失業したテナントを保護するために政府が行っていたサポートもほぼ終了しました。家賃補助を受けて家賃を払ってきたテナントさんの立ち退き(Eviction)の件数も増えてきています。その一方で、次の賃貸を探すのが厳しいことがわかっているため、テナントさんはいま住んでいるユニットを出たがらず、テナントの入れ替わりのスピード自体はスローになっています。
管理会社としては、テナントの状態を常に把握し、トラブルや滞納などのサインを早めに掴んで、必要に応じた早いアクションを心がけています。
投資家として部屋の空室期間を作らないことは利回りのために最も重要で、質のよいテナントさんをキープできるかがキーとなってきます。そのために、密なテナント管理の重要性がさらに高まっていると考えています。
バケーションレンタル規制法案は実施が棚上げに
2023年の3月に試行が予定されていたバケーションレンタル規制法案ですが、アメリカ連邦の最高裁が違法性を認めたことにより、実施が棚上げとなっています。そうは言ってもいつ裁判が決着して、施行されるかは誰にも分かりません。
それゆえに、今後法律がどのように動こうと変わらず短期バケーションレンタル貸し出しができるNUC(短期賃貸許可証)付きの物件には人気が高まっています。
コロナになった後バケーションレンタル物件を長期賃貸に切り替えたオーナーさんが、再びバケーションレンタルに戻して運営するといった動きも見られます。
NUC付きのバケーションレンタル物件はマーケットに出れば争奪戦になる人気が続いています。
個人としても利用したいという半投資スタイルをご希望の方がバケレン可能物件を購入される場合は、スピードのあるキャッシュオファーが基本になると思います。
まとめ
アメリカの高金利による不動産マーケットや、ふたたび円安ドル高に動いてきた為替など気になる情報が多い2023年下半期です。秋からアメリカの景気後退論も出ていますが、前述の通りハワイの不動産マーケットはアメリカ本土からの影響を受けるまでに時差があり、逆に回復する時はアメリカ本土よりも早く回復してきたという過去の事例があります。
将来的にハワイ不動産を購入したいと考えている方は、いざという時にすぐ動けるご準備をしておくことをおすすめします。