今日は、ハワイ在住で料理研究家、そしてピアノ講師としてSNSを中心に注目を集めるクラーク桃さんにインタビューしました。桃さんらしいペースで、ハワイライフを楽しみ、新しいことに挑戦している桃さんのハワイ・ストーリーをお届けします。
2019年、結婚を機に始まったハワイライフ
桃さん:
私がハワイ移住してきたのは2019年、日本で出会った、夫のフランク・クラークとの結婚がきっかけです。
私は幼い頃からピアノを学び、音楽と芸術に人生を捧げてきました。むしろ移住するならばクラシックの本場であるヨーロッパへの憧れが強く、ハワイ移住すると知った周囲の人にも驚かれました。
でもこのハワイ移住が私の人生に思いがけない広がりをもたらしてくれました。いつも私を応援して、背中を押してくれる夫のフランクには感謝しています。
ピアノと音楽に捧げた青春時代

幼いころから家にピアノがあり、家族も家で演奏するなど、自然と音楽とピアノに親しんで育ちました。子供の頃は合唱団に入り合唱曲を大好きになったり、その影響で自分でも詩を書いたりもしていました。
子供の頃から、ピアノでも詩作でも、一度始めると何時間でも没頭するタイプでした。その姿を見ていた叔母が、本格的に音楽の道に進むことを薦めてくれ、音楽高校受験の先生を紹介してくれたのです。
その先生は私に問いかけました。「覚悟はできていますか?寝ているとき以外はピアノのことを考える生活になりますよ」と。 でも迷いはありませんでした。他の習い事をすべてやめ、ピアノだけに打ち込んだ青春時代でした。高校から音楽大学付属高校に進学し、そのまま音大のピアノ科へ進みました。
年齢を重ねるにつれて私の音楽的嗜好も変化し、オーソドックスなクラシック音楽から、正解がなく自由な現代音楽に惹かれるようになりました。以降、同年代の作曲家たちの新曲を自主公演で発表するなど表現の幅を広げ、演奏家としての活動を続けました。
大学在学中からスタートしたピアノ講師のキャリア
演奏活動と並行して大学在学中からスタートしたのがピアノ講師と
ハワイ移住後は、ローカル・在住者向け(
ハワイと日本、両国でピアノを教えてみて教育アプローチの違いには驚きました。日本では親御さんもテクニック重視で「厳しくお願いします」「この曲を何ヶ月で仕上げたい」など熱意と具体的な目標を持つ方が多かったです。
一方、ハワイの親御さんたちは「褒めて育てたい」という方が多く、情操教育としてピアノを捉えていて、音楽を楽しむ心を育てること、心を豊かにすることを重視されています。
ハワイの子供たちはみんな優しくて明るくて、自由な感じがとても素敵だなと感じています。大切なお子さんの成長期に関わらせていただくことは、私にとっても大きな喜びです。ピアノ教室は現在も生徒募集中ですのでご興味がおありの方はぜひお問い合わせください。
IG:momo.piano
料理研究家としての目覚め、義母との同居で学んだこと
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私のもう一つの顔である「料理研究家」も、実はハワイ移住がきっかけです。
2019年にハワイ生活は、はじめから夫の義母との同居でスタートしました。義母は日本人でしたが、アメリカ生活が60年以上という強い女性でした。ハワイ生活に不慣れな上、いきなり高齢の義母のお世話が待ったなしで始まり、想像以上にハードでした。しかし、いま振り返れば、この義母との暮らしは、私に多くの学びを与えてくれる尊い時間ともなりました。
私が移住後すぐに、義母が肺炎で入院したことがあります。 ”病院食が口に合わない、和食が食べたい”という義母に、私の作った和食を持っていくと、とても喜んで食べてくれたのです。体力も戻り、すぐに退院することもできました。「家族の健康は私に委ねられているんだ、生きることと食べることは直結しているんだ」と、義母の介護を通して実感しました。私が真剣に料理と向き合うようになったのはそれからです。
フランクも義母も私の料理を褒めてくれて、食べる人が笑顔になり「おいしかった」と言ってくれる喜びを知り、ここでも持ち前の没頭する癖を発揮して、すっかり料理にはまってしまいました。
その後6年に渡り、夫と協力して義母の在宅介護を続けました。刻み食、流動食へと私が義母のために作る料理も変わっていく中で、人はこうやって老いを迎えていくのだということを目の前で見せていただきました。最後は毎日のように「ありがとう、ありがとう」と感謝の言葉をくれた義母を、2025年8月に自宅で見送りました。
お料理教室やポップアップ、ケータリングなど活動を広げたい
日々の料理と義母の介護とに追われていた6年間が一区切りとなったこの夏。寂しくはありますが、ようやく自分自身のハワイの時間が始まる、という気持ちです。これからは不定期で行ってきたお料理教室にももっと力を入れていきたいと思っています。
料理を通して私が大事にしているのは、「家族の時間を有意義にすること」です。お料理のジャンルは幅広く「世界中の家庭料理」です。和食だけでなく、イタリアン、タイ料理、インドネシア料理、ギリシャ料理など、さまざまな国の家庭の味に挑戦しています。完全に独学、自分流のスタイルですが、母も祖母も料理上手で、美味しいものを食べて育ったことが、今の私の土台になっています。
さらに最近では、得意な和菓子でのポップアップ出店やカフェとのコラボレーション、またケータリングのお仕事も増えてきて、これからも増やしていければと思っています。
5分で売り切れたいちご大福
今年は喪中のため行いませんが、おせちのオーダーも好評で、また2027年のお正月には予約を受け付けたいと思っています。

お料理教室の不定期の募集はインスタグラムをご覧ください。
ハワイ移住に興味がある方へのメッセージ
私がフランクと出会いハワイに来たのも、また料理の道へ進むことになったのも、今思えばちょっとしたことがきっかけでした。何がどこで繋がって、人生が予想外な展開を見せるかは分かりません。
もしハワイ移住を実現したいと思うなら、ご自身のセンサーを広げて、行動を起こして、いろんな人と話してみると、どこかできっかけが生まれるかもしれない、旅行で来て、何かが始まることだってあると思います。
ヨーロッパ派だった私も今は「住めば都」で、ハワイの温暖な気候と自然の豊かさに感謝しながら、夫と愛犬たちとの暮らしを満喫しています。音楽も料理も、そして生活そのものも、私らしく自由に表現していきたいと思っています。


