コロナ禍に惜しまれつつ閉店した同店が、新たに今年、カカアコ地区に場所を移しリニューアルオープンした。店を率いるエグゼクティブ・シェフの山中さんは「僕の料理はお客様との真剣勝負」と語る。
PARIS HAWAII バリハワイ エグゼクティブ・シェフ 山中祐哉さん
1987年北海道札幌市生まれ。高校卒業後、大阪のフランス料理店で料理人としてスタートをきる。 25歳で渡仏。パリの老舗ビストロで修業後、「Le Clown bar」の新規開店にスーシェフとして携わる。2018年ホノルルにアイランドフレンチキュイジーヌ「PARIS HAWAII」オープン。コロナ禍で閉店し、 2025年カカアコ地区にリニューアルオープンした。日本航空ホノルル便のビジネスクラス担当シェフも務める。
パリで身につけた素材へのダイレクトなアプローチ ハワイならではの「アイランドフレンチ」を追求します。
2018年にワイキキで「PARIS HAWAII」をオープンした時は、地産地消が大きなテーマでした。素材をいかに新鮮なうちに、誰の手も入らないうちに入手するか。 そしてそれをいかに素早く調理してお客様に食べていただくか。これを追求していました。卸業者から入手できない素材は自分で探しに行ったり、生産者と直接交渉したり。それなりに苦労はしましたが、この店を開いたことで自分の名前をハワイの皆さんに知っていただけたし、僕にとっては貴重な時間でした。
でも、開店準備に3年以上かかったのに、すぐコロナ禍に突入してしまって。持続できないか模索したのですがうまくいかず、自分としては断腸の想いで閉店しました。実は、もう10年近くハワイにいますが、自分が主役のお店で料理を提供したのは、この「PARIS HAWAII」の1年半くらいなんですよ。それ以外はずっと、料理の研究、勉強をしています(苦笑)。我ながら、いいのかなと思うこともあるんですが、ウエストマングループに所属して各店舗のメニュー監修をしつつ、自分の店が再開した時にはあれしょう、これしようとずっと構想してきました。ようやくその場ができたのが、ここカカアコのSALT(ソルト)内に移転した新生「PARIS HAWAII」。今年 1月にソフトオープンし、5月1日にグランドオープンしました
こちらがプリフィックスメニュー($85〜)で提供される料理の数々。
各種アルコールのペアリングも選べる。
ずっと探していた小規模なカウンター中心の店舗スペースで、自由に創作できるオープンキッチンがある。ワイキキの店舗もそうでしたが、オープンキッチンで、カウンターのお客様と対峙すると一切のごまかしが効かないです。肉は低温調理しているんだなとか、あそこでバーナーを使っているなとか、手の内がすべて晒される。でもそれを前提に、例えば野菜なら仕込みで切っておかずに素材そのままを見せてから切るようにしたり、カウンター 越しのお客様とのコミュニケーションから 調理方法をその場で変えたりしていました。まるでライブ。でもそんな真剣勝負のような緊張感が好きなんです。
僕の料理に関しては、もちろん基礎は日本で学びましたけれど、コアの部分はパリで吸収したことが大きいです。最初に勤めたお店は、とにかく素材重視。毎朝、泥がついたままの野菜や、殻がついたままの魚介類がどさっと運ばれてくる。手付かずのままの新鮮な素材を、とにかく早くお客様に食べてもらう。僕はここで本当の地産地消というか、素材に対するダイレクトなアプローチを学びました。
調理方法も自分の中でどんどん変化しています。例えば、以前の店舗ではステーキはキアヴェの炭でじっくり焼いていましたが、今は薪で直火で焼いています。今はそれが旨いと思うから。今自分ができる最高の技を、お客様には堪能していただきたい。思えば、料理の世界に入った きっかけは中学時代に先生に薦められて参加した料理大会で、あれよあれよという間に北海道代表として東京本選に進み、優勝してしまったこと。まるで遊びの延長で面白がって取り組んだのが僕の原点なんです。これからも、とにかく面白いことに挑戦したい。自分自身が楽しくないと、食べていただくお客様を楽しませることなんてできない。ぜひ僕の挑戦を味わいにいらしてください。
Tel:808ー752-2312
342 Coral street.Honolulu HI
営業時間 木ー月曜 5–10 pm(5:00と7:30の2回)
予約はOpen Tableから