小林剛弁護士に聞く 2020年、投資によるアメリカのEビザ取得は厳しくなるのか?

更新日 2020.02.05

2020年、四年に一度の大統領選挙の行われる年。移民に対して厳しいイメージのあるトランプ大統領の再選するのか、民主党が政権奪取するのかにょって、移民ビザ、とくに投資家ビザ(Eビザ)の取得事情は、どういう影響を受けるのでしょうか?小林剛弁護士に聞いてみました。

目次

そもそも”トランプ政権になってからビザ取得が厳しくなった”説は本当なのか? 
剛先生はこう解説する!

ハワイに住むネット編集部(以下、編集部):
トランプ政権が発足して4年ですが、この4年間の間に、あちこちで「ビザ取得が厳しくなった」「以前ならば通った申請が通らなくなった」といった声をよく聞きます。実際のケースを見ていて、剛先生はどのようにお考えですか? 

小林剛先生(以下、剛先生):
そういう声をよく聞きますが、実は私はそうは考えていないんです。 トランプ大統領になってから、オバマ時代に比べ申請書類を細かく見られることが増えた、また追加書類を求められることが増えた、これは事実です。

しかし、トランプ大統領になってからビザ発行の基準を大きく変えた、ということではなく、オバマ大統領時代には多少あやふやでも通っていた申請が、トランプ大統領になってから曖昧さを排除するようになったと言えます。そして曖昧な部分に疑問が残る場合ビザを発行しないスタンスになった、というほうが正しい理解だと思います。

編集部:
具体的にどういった点で曖昧さが認められなくなったのでしょうか? 

剛先生: 例えば、投資家ビザ(E2ビザ)取得の例ですと、以前ならビザを取得後に、アメリカでの現地スタッフを雇用する「予定」でも、ビザが通りました。 しかし、現在では、遅くともビザ面接の時までに実際にスタッフが雇用されており給与支払いが発生しているという「実態」がないとビザが認められない可能性もあります。

例えば店舗ビジネスの場合でも「オープン予定」では難しく、「オープンしている事実」があることが重視されるケースもあります。

なので、既存のビジネスをM&AしてE2ビザを取得するやり方の有効性が高まっています。すでに雇用もあり、店舗やビジネスが運営されている状態なので通りやすいというわけです。 


M&Aに関しての記事はこちら


 

2020年、大統領選挙は、ビザ取得に影響するか?

編集部:
2020年、アメリカ大統領選の年です。ビザの審査期間が延びるなど、なにか動きはあるのでしょうか?

剛先生:
結論から言うと、2020年もビザ申請に大きな変化はないと見ています。

4年前にトランプ大統領が就任した際にも、審査が厳格化するプロセスの変化は徐々に起きました。トランプ政権になった後も、「アメリカがビザを発行する基準が大きく変わったわけではない」とお伝えしましたが、トランプ政権が再選するとしても、民主党の大統領になるとしても、突然なにか大きな変化が起きるような事態にはならないと見ています。

アメリカの投資家ビザを発行するアメリカ政府の意図とは? 

編集部:
投資家ビザ、というと、「これから新規事業をアメリカで立ち上げるぞ」という方向けのビザというイメージがありますが、ビジネスプランが「予定」だけでは厳しいということなんですね!

剛先生:
そうですね。大事なのは、ビザを発行する側のアメリカの意図を理解することです。
アメリカが外国人に投資ビザを発行するのは、なぜなのか?ということです。

アメリカでビジネスをしたいという会社が一定の投資額以上の投資マネーを落とすから、ビザを出すということだけではないんです。その投資により、アメリカで事業が生まれ、それを軌道に乗せて、アメリカ人雇用を創出し、アメリカ社会へ貢献してもらえるかどうかを重視しています。そうであれば、Eビザを出しましょう、ということなんです。

オバマ大統領時代は、これから始める成功するかどうか分からないビジネスでもEビザ取得の可能性がありましたが、トランプ大統領になってからは、ビジネスとしての成否や継続性を問われることが増えたということです。そして同じ観点から、Eビザを申請している人自身の「マネジメント能力」が実績含めて厳しく問われるようになっています。

教えて、剛先生!
投資家ビザ(E2ビザ)を申請する際のポイントとは? 

編集部:
トランプ政権後、提出書類が厳しく見られるようになったとのことですが、取得率は変わりましたか? 

剛先生:
実は、GO法律事務所では、オバマ大統領の時代と、トランプ大統領になってからを比べても、申請数に対してビザが実際に発行された率を比べるとほとんど変わっていないんです。
2019年も、E2ビザの申請を50件ほどお手伝いしましたが、95%ほどの勝率でビザを取得できています。

ここはもう完全にEビザ申請のケースを多く経験している場数がモノを言うところなのですが、追加資料提出の依頼が来たのはどのポイントだったのか?という過去の事例を踏まえて、新規申請の場合にも、突っ込まれそうなところを見越して、最初の申請の段階からフルで資料を提出するようにしています。

編集部:
最初っから「これだけ出しておけば文句ないだろう!」というフルセットを用意するんですね!ほかに申請時に留意すべきポイントやコツはありますか?   

剛先生:
いくつか重要ポイントがあるのでお伝えしますね。

●事業を行っている実態
上述の繰り返しになりますが、面接時までに、事業がスタートしている実態があること。現地スタッフの雇用、給与支払い、店舗なら開店していること、など事業の実態をできるだけしっかり資料で見せることです。

●お金の出どころ
お金の出どころは詳しく問われます。これは、マネーロンダリングを厳しく取り締まる観点が一つ。そして、もう一つは、アメリカで経営を行う資質の証明という観点から、投資家自身が自力・自分の事業で稼いだお金であることかどうかが問われます。たとえば、遺産や贈与として受け取ったお金でも原則的にはオッケーなのですが、オーナーとして申請する場合は、経営の資質がそもそもあるかどうかが問われることが多いです。

●アメリカ人にもわかりやすいレジュメ
レジュメは重要です。特に、アメリカ人の審査官にとって分かりやすくアピールするレジュメを用意すること。最終的に英訳するお手伝いはGO法律事務所で行いますが、実績を分かりやすく冒頭にまとめる、数字を盛り込むなど、通りのよい書き方があります。業種経験10年以上、マネジメント経験5年以上がEビザ申請する際の目安となります。


●E2ビザの申請企業と申請者の国籍がマッチしていること
まれに、申請企業のオーナーの国籍と、申請者の国籍がマッチしてないことがあります。日本人オーナー企業が、日本国籍の申請者をスポンサーすることができます。


 

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