ライフプラン808社とは
金融、税制、保険、教育資金、年金制度、リタイアメントプランニングなど幅広い知識を持ったファイナンシャルのプロフェッショナルチームです。
平田さんはその中でもレジスタード・ソーシャルセキュリティ・アナリスト(RSSA)として、多くの方のソーシャルセキュリティをはじめとしたご相談に乗っています。
左端が平田正人さん
平田さんご自身のご経験からソーシャルセキュリティアナリストへ
平田さん:私は現在71歳になりましたが、私自身が受給のタイミングに悩んだ経験が、今の仕事につながっています。

ソーシャルセキュリティは、そもそもの受給ルールが非常に複雑です。正しく理解して受け取るかどうかで、生涯受取額に数万〜数十万ドルの差が出てきます。まずは基礎となる考え方とルールをこの記事で理解していただければと思います。
また私ども「ライフプラン808」では、このソーシャルセキュリティに関する相談を無料で承っています。ソーシャルセキュリティ・オフィスでは手続きについては教えてくれますが、上記のような「いつから、どのように受け取るのがベストなのか?」といった個別の相談には乗ってくれません。ぜひ我々のような認定アナリストをご活用ください。
それではアメリカのソーシャルセキュリティの基本のポイントをわかりやすく解説していきます。
受給開始は62〜70歳。いつ始めるかで金額は大きく変わります
ソーシャルセキュリティは、62歳〜70歳の間で受給開始を選べます。1960年以降に生まれた方だと67歳が「満額受給年齢(Full retirement age)」です。この67歳をベースに、何歳から受給を開始するかで毎月の受給金額が変わります。
| 受給開始年齢 | 受給金額の目安 |
|---|---|
| 62歳 | 満額の 70% |
| 67歳(満額受給年齢) | 100% |
| 70歳 | 満額の124% |
(2026 RSSA Fact Sheetより)
70歳まで遅らせると、67歳から毎年8%増額という形になります。
ただし、「遅らせたほうが良い人」と「早く受けたほうが良い人」がいます。判断材料は主に次の3点です。
- 健康状態や寿命の傾向(ライフエクスペクタンシー)
- 資産状況や退職後の収入の有無
- 税務面の影響
受給年齢になった時に、手元資金に余裕があったり、副収入や配偶者の収入があるのであれば、受給を遅らせて増額した金額を受け取るべきです。逆にご自身に健康不安があるならば早めに受給を開始すべきなど、複数の要素で判断すべきです。
私は相談を受ける際、これらを踏まえて複数の受給シナリオを考えていきます。
受給額はどの年収を対象に計算されるのか?
多くの方が誤解していますが、受給額は直近の給与額で決まるわけではありません。最も収入が高かった上位35年間の平均が計算の基盤になります。また、受給資格には40クレジット(約10年)が必要です。
2026年基準では:
- $1,890 の収入=1クレジット
- 年間最大4クレジットまで取得可能
働き方にフルタイム・パートタイムの区別はありません。
ちなみにハワイでは約40%の人が、ソーシャルセキュリティだけでは暮らしていけないと言われています。
日本とアメリカに両国に年金を支払った期間を通算できるか?
これも日本人の方からよくいただく質問の一つです。
結論からいくと、アメリカと日本は日米社会保障協定に加盟していますので、両国での加入期間は通算することが可能です。
多くのハワイ在住日本人の方が、日本で勤務経験があったり、日本企業からアメリカに駐在でハワイに来ていたりと、日本の年金とアメリカのソーシャルセキュリティの両方を支払った履歴があります。どちらかの国で払っていれば、不在だった期間を「カラ期間」にせずに済み、期間を通算して受給資格に反映されます。
ただし、支払いはそれぞれの国への支払った額に応じて、両国から受け取る形になります。日本に帰国後もアメリカからの年金は受け取れますし、アメリカにいても日本の年金を受け取ることもできます。
また、2024年からアメリカ側の法律が変わり、日本からも年金を受け取っていた人に対するアメリカ側でのペナルティ減額(Windfall Elimination Provision /WEP)が撤廃されたのも大きなニュースです。
配偶者・離婚・遺族給付 — 制度を知らないと損をするケースも
ハワイでは、日本人×アメリカ人の国際結婚、離婚や再婚、またご自身が働いていた期間と無職だった期間があるなど、複雑になるケースが多いです。
● Spousal Benefit(配偶者給付)
ご自身が仕事をしていなかった方も、最大配偶者の給付の50%が、ご自身も受給できる仕組み。
● Divorced Spousal Benefit(離婚配偶者給付)
結婚期間が10年以上かつ、現在独身であれば、元配偶者記録を基準に受給可能。
● Survivor Benefit(遺族給付)
結婚期間が9ヶ月以上であれば、配偶者死亡後に受給できます。
ベストシナリオはそれぞれの方のライフプランによって異なりますが、これらの給付のルールを知らずに、人生の大きな決定を下すと、あとから取り返しがつかないことになります。
たとえば結婚期間が9年とちょっとで離婚したが、あともう少し頑張っていれば、離婚配偶者給付がもらえたのに、といったケースなどです。
また、ご自身のソーシャルセキュリティと、配偶者給付を比較して、この順番で、こちらを先に受け取り、あとからこちらに切り替えるのが最適解といった「裏ワザ」もあります。
67歳未満で働きながら受け取る場合の注意点
満額受給年齢(多くの人は67歳)に達するまでは、所得制限があります。一定額を超えると一時的に給付が減額されます。
つまり「まだあなたはそこまで稼げる能力がある」ということで、収入分に対して新たにソーシャルセキュリティの支払いを課せられ、受け取り金額と相殺されてしまうということです。どのくらい働くのが割にあうのか、67歳までは考えるべきでしょう。
67歳以降は、働きながら受給しても問題ありません。
税金はかかるのか
ソーシャルセキュリティは、一般に「所得 (taxable income)」と考えられ、その方の所得状況に応じて所得税が課せられます。受給額の最大85%が課税対象となる場合があります。
ソーシャルセキュリティは「賢く、計画的な申請を」
日本でも老後2000万円は貯蓄がないと年金だけでは暮らしていけないなどの報道があり話題になりました。日本同様に、アメリカのソーシャルセキュリティも財源が枯渇するのでは?とか受給年齢が引き上げられるのでは?などの流動的な要素も多いです。
ソーシャルセキュリティは、いつ、どのルールを、どの順番で使うか。それによって生涯受給総額が大きく変わります。制度を知り、自分にとって最適な形で受け取ること。それが老後の安心につながります。

ぜひご相談ください。
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