ハワイでビジネスを始めるにあたり、オフィスや店舗を借りる際の注意事項を説明します。
ハワイの商業不動産エージェントを探す
一般の住宅不動産と違い、商業不動産は取り扱う不動産会社の所属団体や契約内容が住宅用と異なるため、物件を探すのは容易ではありません。そんな時、頼れる存在となるのが、商業不動産のエージェントです。商業不動産物件は、不動産会社・エージェントが使用する共通の物件データベースへの登録物件数が少なく、希望物件を探すには商業不動産の扱いに慣れたエージェントを探すことが大事です。
基本的に商業不動産物件の売買、リース契約では、買手・借手側のエージェント手数料は売主・貸主側から支払われることが多いため、買手・借手側は、物件探しや内覧、売主・貸主側エージェントとの交渉などを手数料を払うことなく任せることができます。(ただし不動産の法改正により事前にエージェントを決めて、報酬額などの条件を協議して買主代理専任契約書を締結していただくことになります)
商業不動産は住宅用不動産と異なり、売買契約やリース契約の内容が物件ごと、地主ごとに個別の契約書になっており、そうした内情を熟知・難解な契約のプロセスを説明し、家賃やプレミアムなどの交渉をしてくれる商業不動産のエージェントを雇うほうが得策です。

リース契約時に発生する費用
一般的にハワイでオフィスを賃借する場合、契約の際にデポジットと呼ばれる前払い金と、1ヶ月分の家賃(+共益費)を払い、その後は毎月の家賃(+共益費)を払います。契約更新の際も、更新料などは通常かかりません。
しかしリテール(店舗)の場合は、基本賃料にプラスして、共益費や固定資産税、地主が課すPR・広告費、電気・水道料金等を払う物件が多くあります。また、ショッピングモールなどでは、店舗開業後は毎月の売上の規定パーセンテージ額が基本賃料を超えた場合、高い方の額を家賃とする変動型家賃(パーセンテージレント)という契約条件もあります。
ハワイの商業スペースは借りる?買う?
ハワイでは、オフィスや店舗スペースは、一般的に借りる(リースする・Lease Hold物件)ことがほとんどです。物件によっては土地付物件(Fee Simple物件)を購入することも可能ですが、ハワイでは、土地付商業物件の絶対数が少ないのが現状です。しかし維持費や、後で売却も可能であることを考えると、購入したほうが得である場合もあります。
商業不動産には、統一された契約システムがなく、貸主ごとに個別の契約書やルールがあります。オフィスや店舗スペースを借りる場合は、通常は3年または5年程度のリース契約からスタートし、契約期間満了後、オプションでさらに3年や5年のリースが可能、という条件にしたりしますが、こうした条件も貸主・地主の意向によりまちまちです。
一方、例えば5年で契約したリース期間満了前に、何らかの理由でそのリース契約を解除して事業を辞めたい、という場合は、リース期間満了まで借りてくれる借手を見つけてサブリースすることができたり、店舗内の備品や家具と合わせてリース契約を譲渡することができます。(居抜きリース物件)
その際、そのオーナーが備品や家具の購入にかけた費用や内装工事の費用を少しでも回収するため、「プレミアム」と呼ばれる費用をリース契約と別に設定することが多くあります。買手・借手はプレミアムを現オーナーに支払ってリース契約を引き継ぐ、または新規契約を締結することになりますが、このプレミアム費用は交渉可能な費用であり、この費用を払って物件を買った買手・借手も、後に自分達がプレミアムを設定して売却・譲渡することができます。
ハワイでの商業物件リース契約とビジネス保険について
商業物件のリース契約書は、簡単なもので20ページ、ホテル内スペースやショッピングモール、大型コンドミニアム内の物件の場合は、60ページ以上にもおよぶ場合もあります。リース契約書には、通常、内装工事に関するルールや、ビジネス保険に関する必要事項なども含まれています。ビジネス保険を掛けていない場合、貸主に入居を拒否されることもありますので注意が必要です。この際、貸主側が要求するライアビリティ(賠償責任)の保険額には特に注意が必要で、貸主の要求する内容と補償額に見合った保険契約を結びましょう。
ハワイで商業物件リース契約に必要な書類
- 法人の米国納税者番号(Employer Identification Number)
- 法人代表者のパスポートなど身分証明
- 法人口座の残高証明書など資金を証明する書類
- 法人の直近2年の確定申告書
- ハワイ州商業・消費者保護局(DCCA)に登録している定款/事業認可書(Articles of Incorporation)、法人存続証明書(Good Standing)
- 役員である証明、保有株数の証明など
ハワイで商業物件を選ぶ条件
- 
	ロケーション 
 業種やターゲットとする客層で理想の場所は異なる
- 
	設備 
 水道(シンク)、トイレ、エアコン、グリル、換気ダクト、グリーストラップ、電気容量など
- 
	面積 
 来店客、接客、商品陳列、厨房、商材などの保管に必要な面積があるかどうか
- 
	予算 
 基本賃借料だけではなく、共益費、固定資産税、パーセンテージレント、マーケティング費用などのほか、水道、電気、ガス、インターネット、セキュリティ、商業保険費用、パーキング費用(従業員用、顧客用)、グリーストラップ回収費用など
- 
	プレミアム費用 
 売主(現オーナー)と交渉可能ではあるが、大きく減額されないことが多い。
- インスペクション、デューデリジェンス期間 売買契約書に合意されてから、デューデリジェンス期間として一定期間(通常10日〜2週間程度)を設定し、この間に物件のインスペクションと地主とのリース契約の確認・書面作成をする。インスペクションは買主負担で専門のインスペクターにより物件内の電気、水道、物理的外傷などをチェックして、必要な補修の内容を確認する。ただし、通常は「現状のまま売却条項」(AS IS Addendum)が契約に付随することがほとんどなので、補修は買主の負担になる。こうしたインスペクションの結果やリース契約内容に満足いかない場合は、デューデリジェンス期間内であれば取引を無償でキャンセルできる。
- 内装の程度
	改装にどの程度費用、時間がかかるか。電気水道、壁面撤去・新設などの場合はホノルル市に建築許可申請が必要だが、通常1年半程度かかる。 
- 
	駐車場 
 従業員や客の駐車スペースが必要か・何台分使えるのか
- 
	リカーライセンスの有無・内容 
 飲食店舗の場合、リカーライセンスを引き継げるか、新規申請になるか
- 
	入居先・地主側の規律 
 営業時間の規制、定休日の設定可否、エアコン稼働時間(オフィスビルの場合)など
【情報提供・監修】
勝平弘治[R] RB-23760 
スターツインターナショナルハワイ
電話:808−343−6644(直通)
Email :koji@startshawaii.com
ウェブサイト:startshawaii.com
住所:Starts Plaza Suite PH-C1953 S.BeretaniaSt., Honolulu, HI 96826






