専門家に聞きました:税制改正で不動産の減価償却による節税が見込めなくなった際の対応方法は?

専門家に聞きました:税制改正で不動産の減価償却による節税が見込めなくなった際の対応方法は?

更新日 2020.08.20

ハワイ生活にまつわる疑問、解決します。
今日は、税理士の内藤克先生(ハワイ相続プロジェクト)に、税制改正で不動産の減価償却による節税が見込めなくなった際の対応方法をお聞きしました。

 

【ご回答いただいた専門家】

税理士 内藤克

税理士 内藤 克
1962年生まれ、新潟県出身。1990年税理士登録。1995年税理士事務所開業、2010年税理士法人アーク&パートナーズ設立。日本とハワイの税理士、会計士ネットワーク「ハワイ相続プロジェクト」代表。

税理士法人アーク&パートナーズ
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館11F(東京オフィス) 
電話:03-6551-2535
公式サイト:the-arcist.com 
ハワイ相続プロジェクトウェブサイト:hawaiisouzoku.com
 

Q:税制改正で不動産の減価償却の節税が見込めなさそうです。対応方法を教えてください。
A:不動産の価格推移や取得時期など、条件により異なります。

 ハワイに不動産を購入する方には、ほかの地域と異なり「ハワイが好き」という理由が強くあります。たとえ自分が所有している不動産物件に滞在しなくても、年に数回はハワイ旅行を楽しみます。日本人は子どもの頃から「銀行に預金する」、日本円で預ける感覚が根付いていますが、日本に何かがあったときには円だけでは不安ですので、円とドルに分散することは投資の基本と言えます。最近のコロナウイルスなどの緊急時の日本政府の対応を見ていてもそう感じます。税制改正による対応については、この「分散投資」を踏まえた上でいくつかの方法があります。

 まず「せっかく購入したのだからしばらく保有する」方法。今回の改正で「減価償却により生じた赤字を損益通算できない」ことになりますが、これは節税対策を講じなかった状態に戻るだけで損をするわけではありません。損益通算できなかった赤字は売却時に経費になりますので極端に値下がりしない限り問題はありません。例えば日本では個人向け国債の利率は0.05%ですので、節税できなくてもハワイ不動産の家賃のほうがいいという考えもあります。

 次に「2020年中に売却する」方法。税制改正の影響は(節税できなくなるのは)2021年からです。したがって2020年は保有して償却メリットを受け、値下がりするかもしれない2021年より前に売却するという考え方です。これはほかの投資家の出方や市況を見ながらタイミングをうかがうことになります。

 3つめが「資産管理会社を設立して不動産を移行する」方法。今回の改正は所得税の損益通算の改正ですので法人が所有する場合には影響を受けません。副業解禁や独立を考え、いずれは会社を設立しようという場合は、この機会に法人を設立してハワイ不動産や個人資産を法人所有にするという考えです。これにより生前贈与がしやすくなり、米国でのプロベートも回避できます。

 4つめが「利回りの良い築浅物件を購入する」方法。改正後も海外不動産所得同士の損益通算はできるので、中古物件の赤字と新築物件の黒字を通算する意味でも利回りの良い新築物件の購入はアリかもしれません。

 最後に「金利の低い日本の銀行に借り換える」方法。ハワイ不動産を借り入れで購入する場合は、ハワイの銀行から借り入れて購入している個人が多いですが、最近は日本の銀行が金利面でのメリットを生かしてハワイ不動産を担保に貸し出しているケースもあります。単純借り換えできる場合や、法人所有に切り替えるタイミングで法人ローンに変更できる場合など方法はいくつかあります。ただし繰り上げ返済時に違約金が生じる場合や、ノンリコースローン(不動産の価値の範囲内での返済)のメリットが失われる場合もありますので確認が必要です。

 

ハワイ不動産は、購入時から売却や相続までを見越した専門家への相談が欠かせません。気になる方は、内藤先生へご相談を。

 

シリーズ「専門家に聞きました」





※この記事は「ハワイに住む」マガジンVol.41(2020/4/15発行)の記事を元に作成しています。

関連キーワード

合わせて読みたい記事

各カテゴリーのお知らせを見る

不動産会社・
エージェントにお問合せ
閉じる